「掃除が行き届いている」とは何か? 〜清潔感が信頼を生むという話〜

 

飲食店や塾、オフィスなど、人が集まる場所では「清潔感」が非常に大切です。
建物が新しいか古いかに関わらず、「掃除が行き届いているかどうか」で、訪れた人の印象は大きく変わります。

たとえば、古くて年季の入った飲食店でも、きちんと手入れされていて清潔感があると、なぜか安心して過ごせますよね。むしろ、「古いけど清潔」というギャップに、誠実さや丁寧さを感じて好印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

一方で、建物自体が新しくても、どこかに埃が溜まっていたり、テーブルがベタついていたりすると、急に不信感が生まれてしまいます。「掃除されていない=管理が行き届いていない=信用できない」と無意識に感じてしまうからです。

よく、「トイレが綺麗な店はちゃんとしている」と言われますが、これは本当にその通りだと思います。誰でも使う場所だからこそ、そこに気を配っているかどうかで、そのお店や施設全体の“本気度”が透けて見えるのです。

しかし、実はトイレに行かずとも「掃除が行き届いているかどうか」がわかる場所がいくつもあります。たとえば、飲食店で窓際の席に座ったとき。ふと外の景色に目をやったときに、窓のサッシ部分がホコリまみれだったり、ガラスがくもっていたりすると、少しがっかりしてしまいますよね。

あるいは、天井から吊るされた照明のカバー。ふと見上げたその瞬間に、うっすらとホコリが積もっていたりすると、「ここ、掃除のチェックが甘いのかな…」と気づいてしまいます。そういう“目に付きにくいけど、ふと気づかれてしまう”場所は意外と多いのです。

これらの箇所まで含めて、日々の掃除のルーティンに組み込んでいる施設は、実はそれほど多くありません。逆に言えば、そこまで気を配っている店舗や教室は、それだけで他との差別化につながるということです。

では、学習塾などではどうでしょうか?

教室の机や椅子、床はもちろんですが、受付カウンターの上や、パンフレットラックの下なども意外な“落とし穴”です。たとえば、パンフレットが綺麗に並べられていても、そのラックの下にうっすらホコリが溜まっていたら、見る人は見ています。そして、その一瞬の印象が、塾全体の「信頼感」に直結するのです。

もちろん、「掃除をしない」のは論外ですが、「毎日掃除している」だけでは不十分な場合もあります。

本来、掃除の目的は「とりあえず掃く」「なんとなく拭く」ではなく、「汚れているところをきちんと綺麗にする」こと。つまり、ただの作業ではなく、観察力と目的意識を持って取り組むべきものなのです。

たとえば毎日モップをかけていたとしても、家具の裏やすみっこの埃がずっと放置されていたら、それは「掃除が行き届いている」とは言えません。

また、人の手が触れる場所、目線がよく行く場所ほど、優先的にきれいに保たれているべきです。受付まわり、教室のドアノブ、ホワイトボードのふちなど、細部まで気を配ることで、「この塾はちゃんとしている」という印象を与えることができます。

そして何より、それができている塾や施設は、お客様や生徒、保護者からの信頼を得やすくなります。人は無意識のうちに、空間の清潔さから安心感を得て、その場に長く関わりたいかどうかを判断しているからです。

「掃除が行き届いている」とは、単に掃除をしているということではなく、「見る人の目線を意識して、細部にまで気を配っていること」。それが自然と感じられる空間こそが、選ばれる場所になっていくのだと思います。

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