「営業中」の立て看板を畳んで横に置いているラーメン屋さん、見かけたことはありませんか?
畳んでいても“営業中”の文字は見えるので、初めて来た人は「やってるのかな?」と勘違いして駐車場に入ってしまう。そして「やってないじゃないか…」とガッカリして帰っていく。
笑い話のようですが、これと全く同じことが、あなたの塾で起こっているかもしれません。
私が大手塾に入社して20数年、上司から口を酸っぱくして言われ続けたのが**「営業時間を明示しろ」**ということでした 。特にゴールデンウィークやお盆、年末年始といった長期休校の際は徹底するよう叩き込まれました。
「たかが掲示一枚」と侮ってはいけません。これは、塾の信頼性を左右する非常に重要な“入口”なのです。
▼ なぜ、営業時間の明示がそれほどまでに重要なのか?
理由は4つあります。
1. 新規顧客の取りこぼしを防ぐため
塾を探している方が、たまたま車であなたの塾の前を通りかかったとします。しかし、入口は暗く、何の案内もない。「ああ、この塾は今日は休みか」…いや、毎日前を通る人からすれば「いつも閉まっている塾」という印象を与えかねません。塾の内部事情など、外部の人は知る由もないのです。
2. 無用な不信感を生まないため
「休みなら休みと書いておいてくれればいいのに」。これは、お客様が抱くごく自然な感情です。この当たり前の期待に応えられない塾が、果たしてお子様の成績を上げるという、より高度な期待に応えられるでしょうか? 答えは言うまでもありません。
3. 指導姿勢そのものが評価されていると知るため
掲示物がルーズな塾は、「きっと授業や管理もルーズなのだろう」と連想させます 。細部へのこだわりは、塾のすべてに通じます。自転車置き場が乱れていたり、事務机が生活感にあふれていたりするのと同じです。お客様、特に質の高いお客様は、そういった細部から塾の本質を見抜くものなのです 。
4. “塾の常識”と“世間の常識”のズレを埋めるため
我々塾業界の人間は、午後から出勤することが多い。しかし、一般の方からすれば、日中開いていないというのは奇妙に映ります。「この塾、いつやってるんだろう?」という素朴な疑問に答えるのは、私たちの義務です。
▼ 今すぐできる、最低限のアクション
難しく考える必要はありません。今すぐできることから始めましょう。
- 入口ドアの内側にA4用紙で掲示する。(内容:休校期間、営業再開日時、緊急連絡先)
- 定休日や基本の営業時間を書いた掲示をドアの隅に常設する。
- 留守番電話の音声ガイダンスを更新する。(「〇月〇日まで休校しております」等)
これだけでも、印象は全く変わります。余裕があれば、Googleマップの営業時間を更新し、ホームページやSNSにも同じ内容を掲載しましょう。
◇
結局のところ、流行る塾というのは、こうした**「有言実行」の積み重ね**の上に成り立っています 。
「私たちは、こういう姿勢で生徒と向き合っています」という無言のメッセージを発信し続けること。営業時間の掲示は、その最も簡単で、最も効果的な第一歩なのです。
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