入塾面談でシステム説明は最後!入塾率85%を達成した元大手塾教室長が明かす”成績を上げる”面談術

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はじめに:あなたの入塾面談、”勧誘の場”になっていませんか?

教室長の皆様、日々の運営、本当にお疲れ様です。

さて、早速ですが、皆様は入塾面談で最初に何を話していますか?「週に何回通えますか?」「料金体系はこうなっておりまして…」——もし、こんな風にシステム説明から始めてしまっているとしたら、それは非常にもったいない。かつて私が生徒数200名超の教室を社員1名で運営し、入塾率約85%を維持していた秘訣は、この真逆のアプローチにありました。

私が実践していたのは、面談時間の9割を「学習相談」に充て、料金やコマ数などのシステム説明は“最後にちょこっと”話すだけ、というスタイルです。

「え、それで入塾につながるの?」と思われるかもしれません。しかし、断言します。塾の存在価値は生徒を“通わせること”ではなく、“成績を上げて志望校に合格させること”です。この本質に立ち返れば、面談のあり方は自ずと変わります。

この記事では、机上の空論ではない、私が現場で徹底的に実践し、結果を出してきた面談術の全てをお伝えします。明日からの面談が「勧誘の場」から「教育の起点」へと変わるはずです。



1. なぜ入塾率100%を目指さないのか?85%に込めた戦略的意図

入塾率85%という数字だけを見ると、本社からは「なぜ100%を目指さないんだ!」と叱責されがちです。しかし、私は意図して100%を狙いませんでした。その理由は明確です。

流行る塾の本質は、通ってくれた生徒全員の成績を上げ、志望校に合格させることに尽きます。

そのためには、私たちの指導方針や理念に心から共感し、覚悟を持ってついてきてくれるご家庭に来ていただく必要があります。面談は、そのマッチングの場なのです。こちらの方針(例:学習時間の大幅な上積み、基礎科目の優先)に合わないと判断した場合は、正直にその旨をお伝えし、時には他塾をお勧めすることさえありました。

無理に入塾していただいた“15%”は、後々「話が違う」というクレームや、成果が出ずに早期退会につながる可能性が非常に高い層です。短期的な売上を追うのではなく、長期的な信頼と、「あの塾は本気で成績を上げてくれる」という口コミを優先する。私の85%という数字には、そんな戦略的意図が込められています。

2. これが私の面談の「型」だ!45分で信頼を勝ち取る全手順

では、具体的に私がどのように面談を進めていたのか、その「型」を公開します。時間は45分から60分。この時間で、保護者とお子さんの心を鷲掴みにします。

ステップ1(0〜5分):場づくりと前提共有

まずは簡単なアイスブレイクから入ります。学校生活や部活動、最近のテストについて軽く触れ、場の空気を和ませます。

そして、ここが肝心なのですが、私は面談の冒頭で次のような前提を丁寧にお伝えします。

「塾に通うということは、今よりも“手間が増える”ということです。学校の宿題に加えて塾の課題もこなすのですから、学習時間は2倍から3倍になります。その覚悟がないと、残念ながら成果を出すのは難しいです」

最初にハードルを提示することで、相手の真剣度を測ると同時に、私たちの本気度を伝えます。この時点で「楽して成績が上がる場所」を探しているご家庭は、少し表情が変わるはずです。

ステップ2(5〜20分):現状と目標の言語化

次に、持参していただいた成績表を見ながら、現状と目標を具体的に数値化していきます。

  • 現在の5教科合計点、各科目の内申点
  • 志望校と、そこに合格するために必要な目標点
  • 目標達成までに、あと何点必要なのか(例:現状300点→目標400点なら、プラス100点)

この差分を本人と保護者の前で明確にすることで、「何となく頑張る」のではなく、「100点上げるために何をするべきか」という具体的な課題設定へと意識を転換させます。

ステップ3(20〜40分):答案から“真の原因”を特定する

ここが面談のハイライトであり、教室長の腕の見せ所です。私は必ず、答案用紙と問題用紙を持参するようお願いしていました。ただの正解・不正解を見るためではありません。その子の「思考の軌跡」を読み解くためです。

  • 計算ミス:単なるケアレスミスか、筆算の型が崩れているのか、繰り上がりの概念が曖昧なのか。
  • 国語の記述:設問の条件を読み落としていないか。「抜き出しなさい」と「説明しなさい」を混同していないか。
  • 英単語のミス:スペルミスなのか、そもそも覚えていないのか。
  • 余白の使い方:途中式をしっかり書く習慣があるか。図や表を描いて整理しようと試みているか。

これらの点を具体的に指摘しながら、「君が点数を落としている本当の原因は、ここにあるんだよ」と本人に“自覚”させます。保護者から見れば、これはまさに「無料の学習コンサルティング」です。この時点で、「この先生は信頼できる」という確信が生まれます。

ステップ4(40〜50分):学習への「覚悟」を問う

原因が特定できたら、具体的な対策案を提示し、それに取り組む覚悟があるかを本人に直接問います。

「原因は分かったね。これを克服するために、今日から自習時間を今の2倍にする覚悟はあるかい?」

同時に、ご家庭での学習環境(スマホの管理、学習時間帯の確保など)についてもすり合わせを行います。塾だけの努力では成績は上がりません。生徒本人、家庭、そして塾。この三位一体の協力体制を築けるかどうかを確認する、非常に重要なステップです。

ステップ5(50〜60分):“最後に”システム説明

ここまで来て、ようやくシステムの話です。しかし、もう勝負は決まっています。

学習相談を通じて「この塾で、この先生と頑張りたい」という気持ちが固まっていれば、週の回数や料金は、目標達成のための“手段”を選ぶだけの作業に過ぎません。

料金から話を始めてしまうと、どうしても会話が「いかに安く済ませるか」というコストの話に流れがちです。しかし、本質的な課題と解決策を共有した後であれば、保護者は「子どもの未来への投資」として料金を前向きに捉えてくれます。ここでようやく、料金やルール(振替、欠席連絡など)について簡潔に説明し、面談を締めくくります。

3. ケーススタディ:「理社だけやりたい」にどう向き合うか?

よくあるご要望に、「苦手な理科と社会だけをお願いしたい」というものがあります。あなたならどう対応しますか?

私は、安易に「はい、分かりました」とは言いませんでした。

例えば、中2の生徒が現状300点で、目標が400点だとします。私は答案を精査した上で、こう切り出します。

「お気持ちはよく分かります。しかし、答案を拝見すると、本当の課題は理社ではありません。国語の読解力、数学の計算力、英語の語彙力。この“土台”となる3教科が不安定な状態です。理社は暗記要素が強いので、受験直前期でも追い上げが効きやすい。しかし、国数英という“建物の基礎”は、今から固めておかないと、上にいくら立派な知識を積み上げても崩れてしまいます」

このように、専門家として、生徒の将来にとって何が最善かを正直にお伝えするのです。もちろん、国数英が既に高いレベルにあり、理社だけがボトルネックという例外もあります。しかし、ほとんどのケースでは“土台の穴”が本丸です。目先の要望に応えるのではなく、本質的な課題解決を提案することこそが、プロの仕事であり、信頼につながるのです。

4. 面談で絶対にやってはいけないNG集

最後に、私が考える「やりがちな失敗」をまとめておきます。一つでも当てはまっていたら、今日から改めてください。

料金やコマ数の話から始める:会話が「コスト最小化」に流れ、教育の本質がぼやけます。
「必ず上がります」といった過度な約束をする:短期的な入会にはつながるかもしれませんが、後のクレームや不信感の原因になります。有言実行できることだけを宣言しましょう。
・子どもの意欲や家庭環境を確認しないまま契約する:三位一体の協力体制が築けず、成果が出ないまま終わってしまいます。
・本人の答案を見ずに、希望通りのメニューを組む:それはただの御用聞きです。プロとして、本当の課題を特定し、最適な処方箋を提示すべきです。

5. まとめ:面談は「合意形成」ではなく「学習を変える起点」である

入塾面談の価値は、入会という「契約」を取り付けることではありません。

現状を分析し、目標を定め、課題を特定し、解決策を提示し、そして本人の覚悟に火をつける。その日から生徒の学習への向き合い方が変わる——面談を、そんな「学習を変える起点」と位置づけること。

このスタンスに徹したとき、入塾率は結果としてついてきます。そして何より、入らなかった15%のご家庭からも「あそこの塾長は、入らなくても親身に相談に乗ってくれた」という良い評判が生まれます。それこそが、広告費をかけずとも生徒が集まる「流行る塾」の礎となるのです。

明日からの面談、まずは話す順番を変えてみてください。システム説明は、最後です。あなたの教室が、地域で圧倒的な信頼を勝ち取ることを心から願っています。

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